第7回
「建前」??

いわゆる「建前」とは、表向きの基本方針や世間体を踏まえた考え方や言動の事ですが、
建築の世界でいう建前とは木造建築での柱を立てて棟上までの工程をいいます。
建前にまつわるお話をここで一席。
昔、高名な棟梁がおりました。建前まで終了した夜、玄関の柱が短いことに気がつきました。とても誇り高い人物であったので、自殺するほどに悩みました。そこで彼の妻が、桝で足りない分を補い寸法を合わせることを提案し、急いで工事して無事に完成させました。しかし棟梁は、この事実が発覚することを恐れて、妻を殺害してしまったということです。これが建前を重視して、ものごとの本質を見失ってしまうことの語源だそうです。また殺された妻への償いとして「建前の儀式」(上棟式)が始められたとのことです。