第42回
男にする

これは木材に関する用語で、上棟の際に大梁をクレーンで吊り上げる時などに使います。木材には年輪が蜜な部分と粗な部分があり、蜜な部分が「背」、粗の部分が「腹」となるのですが、梁などはこの蜜で安定した方の「背」を上にして使うのです。現場ではこれを『男にしてつりあげる』といいます。
木材において、平におかれた部材を梁や桁などの場所に上げるとき、空中で位置をかえるのは難しいので、地上で“男にして”から吊り上げるわけです。

また同じように木材に関する男、女を使った建築用語として男木、女木(めぎ、おぎ)といった言い方があります。これは、木材の上下の凹凸部を組み合わせる継ぎ手の、上側の木材を「男木」、下側を「女木」として呼ぶものです。またこれは、先の、梁や桁など、背を上に腹を下にして、むくりあがる性質を活かす木の使い方において、「男木(おぎ)に使う」といった言い方をします。逆に、軒の垂木など片持ちに使う木材では反りあがる性質があり、軒が垂れないように腹を上にして用いるのですが、この場合には、「女木(めぎ)にする」といいます。