第61回
“フランス”のいろいろ

たとえば身近にはこんなものがあります。
●フランス丁番
建具の開閉に欠かせない金物に丁番(ヒンジ)がありますが、よく使用される旗丁番の仲間に「フランス丁番」があります。ナックル部(丁番の回転軸を通す円筒状の部分)に丸みがあるのが特徴で、次手が1ヶ所のため簡単に取り外すことができるもの。
フランスから入ってきたことからこの名がついたと言われます。丁番にはこの他に「スライド丁番」「アングル丁番」など多種類あり、家具やドアなど各用途によって使い分けられます。

「フランス落とし」もまた、戸などの建具に取り付ける金具のこと。上下に動かして戸締りをするために用います。最もよく見られるのは、両開きドアや親子ドアのカギの付いていない方(子扉)のドアの下部に設置されるケース。一般的には扉と扉が合わさる部分の小口に掘りこむように取り付けられ、大きなものの出し入れ時には親子共開閉しますが、平常時は子扉は開ける必要がないという場合にこの金具で固定して使用します。

こちらの「フランス」は煉瓦の積み方の一種。正面から見たときに、一つの列に長手と小口が交互に並んで見えるのがこの積み方です。
ベルギー全土からフランス東北部のフランドル地方の積み方から、正確には「フランドル積み」といいます。ちなみに一つの列は長手、その上の列は小口、その上の列は長手、と重ねてゆく「イギリス積み」もよく知られています。