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第9回
鉄骨造の特徴
鉄骨造の特徴
木造在来工法では空間の広さは2間までが一般的で、それ以上広い空間を求める場合は軽量鉄骨の梁を木の梁の代わりに入れる方法がよく採られますが、大きさの割には強度が高い性質を利用したものです。前回説明しましたように軽量鉄骨造の住宅は工場で加工するため品質が安定しています。ユニット毎に組み立てられて現場に搬入され、現場ではボルトにより接合して組み立てるだけですから工期が大変短いのが特徴的です。鉄骨造の短所としては、鉄骨の一番の弱点である錆と結露です。工場で前もって防錆処理(サビ止め加工やメッキ処理)された状態で現場に搬入されますが、 施工時に何かにぶつかったりするとその傷がサビの原因となりますので上棟時には傷部分に錆止め塗料で補修が必要です。サビのもう一つの原因として結露(水滴が付く事)もあげられます。防錆処理や結露処理が十分でないと軽量鉄骨は厚みが4㎜以下の鋼材を使用している場合が多く錆により数年で強度が一気に落ちてしまいます。鉄骨に何の防御もしないで外に置いた場合の錆びの進行速度は、都市地帯で0.01~0.03mm/年(大気汚染の激しい東京で0.05mm、都心の東京タワーで0.12mmという実験があります)といわれています。鋼材の厚さの1%ぐらい錆びると、鋼材の強さが5~10%低下、鋼材の厚さの10%ぐらい錆びると、鋼材の強さが半分ぐらい低下しますので、20年で0.4mm錆びたとすれば、4mmの軽量鉄骨の耐力は半分になってしまいますので錆には必要以上に注意が必要です。
結露対策には、換気設備及び通気加工をすればだいぶ軽減されます。また鉄骨は熱に弱い性質があるため木造以上に防火性能には注意が必要です。木造は火事には弱いと考えられていますが火で焼かれても表面が炭化するのみで内部まで燃えるには長時間かかるので一気に燃え尽きて壊れることはありません。一方、鉄骨は熱に弱く摂氏550℃程度で急激に強度が失われるため、消火に手間取ると一気に建物が倒壊する危険性を持っているのです。