第57回
甘皮

コンクリートを打設したあと、材料が分離して練り混ぜした水の一部がコンクリート上面に上昇する場合があります。その際の浮き水と一緒に浮上したセメントや骨材の中の微粒子からなる薄い泥状物の層のことを甘皮と呼びます。別名「レイタンス」ともいい、業界ではよく知られた用語となっています。
この泥膜層の成分は主に石灰水からなっているのですが、必要以上の加水が行われた場合に発生しやすく、表面を金コテなどで削ってみることで容易に確認することができます。

一般のコンクリート構造物の場合は重要視されることは少ないですが、水路工事や汚水処理施設などでは大きく影響を受けます。常に流水や推移変動による摩耗やすりへり作用を受ける土管などのコンクリートに甘皮が存在する場合は、そのような脆弱箇所を中心に深くえぐられるような変状が発生するため、施工時の適切な除去作業が必要になるのです。
日頃、爪や皮膚を守る甘皮も、分厚く硬くなってしまうと爪に必要な水分を奪ってしまうといいますから、こちらも時には処理し手入れをした方が良いようですよ。